僕の血は、鉄の味がする

好きな漫画やアニメなどについて、つらつらと綴っていきます

『snkj』

 

 

 

アジア最大級の歓楽街。場所は明かさないが、一日の乗降者数が世界で一番多いと言われている街。の、夜10時。僕は当てもなく、ふらふらと街を彷徨っていた。

 

海外からやって来るという姉夫婦を迎えようと、背伸びをしてオトナな飲み屋に1人突撃を試みた。が、しかし。内気で小心者な僕には、あまりにも過酷なミッションだったようだ。

 

店の中に入ったはものの、初めての場所でどのような顔をすれば良いか分からず、ましてや社交的な性格でもない。2、3それっぽい物を注文してに早々に店を退散した。

結局、お金と時間と勇気を出して、損をしたカタチになってしまった。人間、慣れない事はするもんじゃない。

 

そんな訳で、歓楽街の夜にしてはやや早い時間。帰るには味気なくなってしまった僕は、仕方なくぶらぶらと彷徨っていたのだった。

 

 

ふと、一軒の寂れたゲームセンターに目が留まる。

こんなところにこんな場所があったのか。友達とよく行く、通り沿いの大型店とは全く違うふるいゲーセン。「古い」というより「旧い」という方が似合ってそうだ。看板もボロいし、入口も狭い。一見さんはお断りだよ、という雰囲気が奥から漂ってきている。

普段なら見過ごしてしまうような、とても小さな店だが、今は何故か心惹かれるものがあった。

 

どうせ今日は一度失敗した身だ。今更傷を増やしたところで、何も怖くはない。中でカツアゲにあって身ぐるみ剥がされなければ良しとしようじゃないか。そんなある種のヤケッパチに似た思いを抱きながら、僕は先の見えない階段を上がっていった。

 

 

入口を入ってみると、第一印象は「暗い」そして「狭い」だった。中は照明というものが殆どなく、ゲーム筐体から放たれるあやしい光だけが輝いていた。

子供のころ、学校の先生が禁止した「悪いセンパイにお金を取られる不良の溜まり場」そのままの雰囲気であり、僕はかえって感動してしまった。

 

もちろん、僕だって立派な大人だし、金を取られるなんてことはまず有り得ない。ただ、明らかに健康的な娯楽の雰囲気とは掛け離れている。

ただ純粋にゲームを楽しませる為だけに存在する場所。たとえ時代が、ビデオアーケードゲームの流れから遠ざかっているとしても。

店の空気が主張する潔さに、なんだか僕は嬉しくなってしまった。

 

 

そこには、ありとあらゆるジャンルのゲームが置かれていた。対戦格闘ゲームに始まり、縦横シューティング、ベルトスクロールアクション、落ちもの系、クイズゲーム、今はほとんど見ない実写やアニメキャラが脱衣するゲームなんかも置いてあった。

いくつかは見覚えがあったが、ほとんどは初めて見るものだった。そしてどれもが、一癖も二癖もありそうな顔をしていた。

 

そこにあったのは、アーケードゲームの黎明期を支えた作品達。時代を彩る名作が世に出回り、多くの派生作が生まれた過渡期を経て、業界全体が円熟していった時代。いかにしてゲーム慣れした子供(と大人)達を楽しませようか、各社がしのぎを削り、あらん限りの情熱を注いでいた時代。

今は忘れ去られようとしている当時の熱狂を、家庭用ゲームしかしてない「いい子ちゃん」の僕は今肌で感じていた。

僕が知らなかっただけで、世の中にはこんなにも面白い、隠れた名作があったのか。これを喜ばずしてゲーム好きと言えるのか。

 

 

さて、と見渡すと、ある漫画原作の格闘ゲームが視界に入った。むかしプレイしたことがある。特殊な超能力を持った人物達が戦うのだが、原作を実に忠実に再現していた。特殊能力がどれも個性的で、それがゲームとして成立していたのが印象的だった。

 

まず、主人公チームに犬がいる。そして色物ではなく強い。かと思えば敵にも氷使いの鳥がいるし、格ゲーなのに銃を使う奴も普通に出て来る。人形遣いは、素早い動きで本体と挟み撃ちしてくる。

そして何よりラスボスだ。今更ネタバレもないだろうが、時を止められる。止めた時の中でただ1人、ナイフを投げたり技を繰り出していく。やがて制限時間が過ぎ「時は動き出す」 次の瞬間、全てのダメージが相手へ通る。実は対戦では強くないらしいのだが、その外連味溢れる一連の流れは、当時の中二病達を歓喜させた事だろう。

 

筐体に座って100円を入れる。…のだが、ものの2分でKOされてしまった。

そもそも、自慢じゃないが僕は反射神経がない。コンボ入力などできやしない。そういえば前にやってたのは家庭用で、しかもコンティニューしまくっていたような。ここまで偉そうな薀蓄を語ったが、プレイ時間は何ともお粗末な有様となった。得意なタイトルだった…という古い記憶が更新されたところで、苦笑いしながら席を離れた。

 

 

他にも様々な筐体に手を出したが、どれも10分持たずに席を立つ羽目になった。家庭用と違い、アーケード機は硬貨を多く貢がせる為にどれも難易度が高いのだ。お陰で連敗続きだったが、不思議と気分は良かった。

 

 

やや奥まったところに、パズルゲームが並んだコーナーがあった。いわゆる落ちもの系というやつだ。可愛らしいキャラクターが操作の説明をしているが、こういう簡単そうなのに限って3面ぐらいから鬼のような難易度になる。

 

隣には脱衣系の陣取りゲームがあったが、恥ずかしいのでプレイは避けた。というのは嘘で、実はもう3回硬貨を入れていた。

1キャラ脱がして満足し、陣取りゲームを立とうとした時、角にある地味な印象のパズルが目に留まった。ん?パズルか?なんだアレ……

 

 

テトリスというゲームがある。落ちものパズルの元祖と言える作品だ。上から落ちてくるブロックを積み上げて、横一列を埋めれば消える。

同時に二列以上消すと得点が倍になり、ブロックも大量に消えるのでより有利になる。誰もが知っているゲームだろう。

 


目の前にあったのは、不思議なテトリスだった。

 

画面は、小さな立方体の部屋のようなものを上から覗いている。そこに、テトリスのブロックのようなものが落ちていく。

部屋の高さは限られており、天井まで積み上がってしまったら負け。ブロックを消すには、部屋の「面」を同じ高さで積まなければならない。「列」ではなく「面」で消すテトリス。…そう、これは立体のテトリスなのだ。

 


ブロックは落ちるまではワイヤーフレームで描画されるが、思い通りに埋めるのは難しい。

なにせ画面は上からの見下ろしであり、ブロックも上から降っていく。積み重ねると、容易に下のブロックは隠れてしまう。ここでは、圧倒的な空間把握能力を必要としている。

加えてブロックの操作自体も非常に難しい。

普通、テトリスでは落下の他は右回り・左回りしか操作しない。しかし、立体になったことにより、x軸、y軸、z軸の方向への「右回り・左回り」が発生する。やや矛盾した表現だが、簡単に言うと回転方向が一気に6つに増えるのだ。

これを、通常のテトリスと同じ落下スピードで処理しなければならない。あっという間に頭の中はオーバーヒートしてしまう。ヤバイ。これすんげームズカシイ。…だが、だからこそ、おもしろい。

 


あとで調べたところ、このゲームには最小1ドットから最高5ドット、なんと24種類ものブロックがあるそうだ。通常のテトリスが6種類だから、それだけでこのゲームの複雑さが分かるだろう。

そもそもこの作品、テトリスブームの少し後に日本に来たそうなのだが、あまりに高い難易度の為にろくに流行らなかったらしい。

しかし近年、とあるゲームセンターが導入した事から一部で火がつき、動画配信を経てカルト的な人気を博しているという。

僕がそれを知ったのは、実機を触っただいぶ後になってからなのだが。

 


そんな訳で、ランカー達が日夜しのぎを削っているようなゲームに反射神経ゼロが太刀打ち出来るはずもなく、ステージ3を迎える前にあっけなくゲームオーバーになってしまった。さらに硬貨を投入するも、僕が根を上げる方が早かったようだ。

もうすでに頭は混乱し切っていたが、自分の中ではある種のやり切った感があった。達成感。

僕は全力を出し尽くし、そして負けたのだ。それも、気持ちいいくらいの完敗だ。楽しい。とても楽しい。

難しい数学の問題にぶち当たり、全力で解いてみたくなるような感覚。

 

今日はここまでにしといてやるが、次に会ったらもっともっと上手くなってやる。何なら毎週通ってやろう。僕は、そんな思いを抱きワクワクしながら店を出た。

 

 

 

結局、そのゲームは次に店を訪れた際にはもう無くなっていた。

店員に聞いたら、もともとレンタル基板であり、店のものではなかったようだ。僕はもっと早く行けば良かったと激しく後悔し、かくして僕の初恋は失敗に終わった。

だが、その時の興奮は今でも覚えている。

 


世の中には、まだまだ知らない面白いものが沢山ある。

そして、僕のアンテナはゲームの方に向いているらしい。

まだ見ぬ隠れた名作を求めて、今日も僕は、ゲームセンターの自動ドアの前に立つ。

流行りもののはなし

どうも皆様こんにちは。はじめての方もいらっしゃるかと思います。

わたくし、好きな漫画やアニメやCDなどについて、勝手につらつらとつづるモノでございます

 

前回のブログが、一年半以上前。もう死んだようなものですね。

死人に口なしと申しますが、どうもこの世に未練のあるようで

風のないろうそくを揺らしに戻ってまいりました。

まぁ、そんな感じで

 

 

漫画のはなしです

最近映画化もされた、ある漫画のはなしです。

『響 ~小説家になる方法~』

ビックコミックスペリオール 現在連載中 既刊10巻

 

高校の文学部を舞台に、小説家を目指す主人公を描いた作品です。

立ち読みで一話を読んだだけだったのですが、時間があったので改めて全部読んでみました

 

 

一話だけでは単に暴力的としか映っていなかった主人公、またその周囲の人物模様が

予想に反して、非常に丁寧に描かれていました

タカヤ先輩が投げつけた本が、実は直前まで読んでいたものではないこと

リカ先輩が、稚拙だが意味があると評した作品を

自分の信念との折り合いをつけるために、あえて「本棚を倒してしまったので」元の棚に入れ直す主人公

(非常に分かりにくい描写だったのですが、私はそう解釈しました)など…

実は愛情を持っていないと、描けないキャラクターたちだったのでした

 

まだ読んでない方、今なら確実に近所のTSUTAYAで¥100で借りられます

食後のデザートをワンランク落として、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか?

 「編集に描かされてない?コレ」

 

 

―――――

さて。

あえてここに、もう一つの作品をご紹介します。

G戦場ヘヴンズドア

ビッグコミックスピリッツ 月刊IKKI  全3巻

いまamazonで調べたら、絶版になった1巻はなんと¥41でした

 

 

漫画家を目指す、ある二人の青年の物語です

「青春」なんかではありません。もっと痛々しい何かのおはなしです。

 

BOOKOFFなどで「ビッグコミックスピリッツ」→「IKKI」コーナーを探せば

¥108円で見つかるかもしれません

(かなり前に廃刊になった雑誌でコミックス数は多くない為、すぐに探し終わると思われます。)

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さて、立ち読みで見つけた方

試しに、どちらも「一話だけ」読んでみてください

 

 

『響』 第1話    49ページ

G戦場ヘヴンズドアAir.1  28ページ

 

読み終えた方に伺います…

ほんとうにつづきをよみたいのは、どちらでしょうか?

 

 

ーーーーーー

両方とも、とても素晴らしい作品なので

ぜひ一度、お手に取ってご覧になることをお勧めします。

 

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それでは皆様、ごきげんようです 

ディスカバリー/daft punk

はてさて皆様こんにちは

年が明けたので、あけましてとも言うのでしょうか

 

安くてオススメのCDをお届けしましょうのコーナー、第二弾

今回は、昨年末にdisk unionで買ったCDをご紹介することにしましょう

 

まずは是。EAGLES/HOTEL CALIFORNIA ¥309(disuk union)

 

’70年代に活躍したバンドですね。洋楽好きには説明不要な曲でもあります

「Welcome to the Hotel California」

渋くてカッコいいフレーズですよ

なんか流行った当時、歌詞の意味とか逆再生するとどうとか、ジャケ裏の写真に幽霊が映っているとか色々オカルトな噂が飛びかったらしいですが

(逆再生すると奇妙に聴こえるのが当然なのは、ニコ動で流行った逆再生サザエさんでも明らかですねww)

単純に曲がカッコいいのです

アメリカ西海岸の乾いた風に吹かれながら、気が付けばあなたもホテル・カリフォルニアに迷い込んでいます

古き良き名盤の一つであると思います



個人的に曲ではなくCDをオススメするのは、2曲目の「New Kid In Town」も良いからであります

お目当ての曲以外に良曲を見つけられるのは、CD買いならではの楽しみですよね

 

次のCD。Daft Punk/DISCOVERY  ¥309(disk union)

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ここでは代表曲のOne More Timeを貼っときましょう

www.youtube.com

PV見て気付く人もいるかもしれません。「あれ?」って

そう、フランス出身のこのエレクトロデュオは、かの松本零士先生の大ファンだったそうで

オファーしたら、なんとアルバム全部まるごと、PV作成してくれたんだそうです

豪華で豪気ですね。しかも、PVのアニメも質が高い

(ホントは松本先生版のジャケットが欲しかったんだけど、この値段ではなかった…。松本版だとアニメキャラのジャケにダサめの日本語でディスカバリー」、更に裏に松本先生に肩抱かれて嬉しそうな2人の写真が載ってます)

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ね、スゲーダサくてカッコよくない⁇


この二人組、素顔を出さないことでも有名で

メディアに出る時には、必ずロボットみたいな独特のお面を被っています

(このお面、表面に文字が出せるという凝りようww)

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(これは合成だけどね)

個人的に好きなのは、実験的な作り方をしてる4曲目の「Harder,Better,Faster,Stroger」ですが

このアルバム自体、非常にハズレ曲の少ない名盤となっております

というワケでもう一曲、一転してしっとりの「Something About Us」も挙げときます

https://www.youtube.com/watch?v=gjVgsYBY3Y8&index=9&list=PLJ1j9MAUFWCPPN8Z9ct2eO1r7qkilynCq

どうでも良いんだけど、松本センセイの描く女性ふつくシスな……

 

さてお次はまた趣向を変えて、JACKSON SISTERS/JACKSON SISTERS  ¥309(disk union)

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www.youtube.com

ここでは代表曲の「Miracles」を貼っときます

…ジャケットからして、なんかもうネタとして完璧な雰囲気が漂ってますwww

美味しすぎでしょ、このジャケット

当時音楽少年だった僕も、やっぱりジャケで惹かれて買った記憶があります

一応解説すると、マイケル・ジャクソン中心にモータウンブームの火付け役となったジャクソン5に対する、

ガールズサイドからの回答だったグループみたいで

このアルバム一枚をもって、解散してしまったとのこと

モータウン系だと、スティービー・ワンダーとか昔超聴きまくってたんだけど

それはまた次の機会に

 

最後は此れ。ゆらゆら帝国/ゆらゆら帝国Ⅲ  ¥709

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帯付き美品!

www.youtube.com

注:ドラムを叩いてるのは、井上陽水ではありません

日本でカルト的な人気を誇る、サイケデリックバンドです

ちなみにこの曲は、昔フジテレビ系でやってた「はねるのトびら」のOPに使われてた曲でもあります(初期の深夜帯の頃)

実はこのバンド、もうすでに解散してしまった訳なんですが

解散の理由もまた最高に良いwwんです

気になった方は調べてみてください

邦楽でも異彩を放つ独特な曲調、歌詞を作るバンドなんですけど

(「だいたい俺は今3歳なんだけど2歳の時にはもう分かってたね」なんて歌詞、普通の人には書けないw)

見てわかる通り、ビジュアルでも良い意味でキモチ悪いのが良い‼

 

アルバムとしては「~で考え中」や「ラメのパンタロン」などのロックもあれば

「幽霊の結婚式」「待ち人」などのしっとり曲、「砂のお城」のような寂しい曲もあります

ホントに多彩な曲が収録されてて、ゆら帝初心者にも割と聴きやすい濃度のアルバムとなっております

これだけちょっと値段が高めだったけど、どうしても紹介しておきたかったので。

せっかくなので、俺はこの「ラメのパンタロン」も貼るぜ!

www.youtube.com

キモチ悪いよー、気持ち悪いのが最高にカッコいいよーww

若者向けのバンドのカッコ良さとは真逆をイっちゃってるスタイル

好き

 

 

良いCDは、あなたの身近にほらそこに

めくるめくワンダーランドは、ちょっと手を伸ばせば届くのです

週末にいかがでしょうか

以上、のすけがお送りしました

セクシーボイスアンドロボ

さらに皆様こんにちは

有無を言わさずおススメ漫画を紹介していくブログの第三話

 

今回の漫画はこれ。黒田硫黄セクシーボイスアンドロボ

¥216(まんだらけ価格)

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簡単にあらすじ。

「趣味と実益」でテレクラのサクラをやっている、七色の声色を使う中学生、ニコ

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ふとした事で、なにやら訳アリの老人に話を持ち掛けられる

なんでも知り合いの息子が誘拐され、困っているのだという

 

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電話の録音を聞き、アドバイスをして去るニコ(プロでしょう、と老人が差し出したのは諭吉10枚!w)

だが、どうにも気になって自ら動き出す

テレクラで釣ったちょっと抜けてそうな男「ロボ」をお供に

 

紆余曲折を経て、誘拐犯を見つけるニコ

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(一番左下のコマ、声を確認する為わざとぶつけられ、首掴まれてるのが相棒の『ロボ』 見捨てられている…)


ただの中学生が誘拐犯を捕まえられるのかどうか、悩みながら追うのだが……


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「今救えるのは、宇宙で私だけ。」

なかなか勢いのあるいいシーン。

 

そんなこんなで無事事件を解決した、最後のセリフが象徴的

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カッコいい…

 

 

基本一話完結の、痛快なスパイアクション?もの

読みやすいので、黒田硫黄入門としてもオススメです

主人公の機転きく立ち回りがカッコいいし、とにかく会話の節々にセンスが溢れている

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「まぁ、老人が昔話をしないで誰がするの?」

 

どの話も好きなんだけど、個人的に気に入ってるのは

ケータイのSEの話と、青空床屋の話

そして何といっても三日坊主の話

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出てくる一話限りのキャラも魅力的

さらっとカッコいい奴も出てくる

 

あと、ちょいちょい見せる主人公ニコのエロさが良い

とくにそんな描写がないのに、なんでだろ?

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ちなみに、三日坊主の好物はうなぎ

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忘れないように、三日に一回は食うそうだ

それを受けてのニコの「おや いいねぇ」って返しが好き

 

とにかく耳が良く機転の利く主人公ニコと、天然だけど何かと使い勝手の言い相棒ロボ

遭遇する数々の事件は、ハッピーエンドだったりそうじゃなかったり

でもどれも、とても味わいのある物語になってます

 

余談ですが、これの二巻を帯び付き美品で手に入れられたのは超ラッキーだった

しかも、わずか¥324(まんだらけ価格)

 

気になったら、ブックオフでも立ち読みしてみてください

面白いと思ったら、買うべきです

 


…超個人的な意見なんですが、ブックオフというのは立ち読みをする場じゃなく、掘り出し物を見つける場所だと思うんです

面白い漫画、良いCDを安くでどれだけ手に入れられるのか探索する、宝の山

だから、周りの友達が当然のように「立ち読み場」とする感覚に

違和感を感じてた

(立ち読みを否定してる訳ではないんです

 ただ、漫画に限らず映画音楽ゲーム…どれも流行りの「使い捨て」だけになってしまったら

 廃れていく一方だと思うので)


本当に良い漫画は、その場だけでなく家で好きな時に何度でも楽しみたいもの

それは、完結しているいないを問わず、大切にしたい思いだと考えます

 

「漫画を愛する」って、そういう事じゃありませんか?

 

ちょっと長々と愚痴っぽく語っちゃいましたね

失礼いたしました

以上、のすけがお送りしました

ネムルバカ

どうもこんにちは。お久しぶりですのすけです。

要望なくても、安くて良い漫画を皆様にお届けする企画の第二弾

 

今日の漫画は、これ。石黒正数『ネムルバカ』

¥108 (BOOKOFF価格)

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モラトリアムの先輩後輩女子大生2人が、相部屋で寮生活しながら

ぐーたらな日々の中で、お互いの存在の大切さに気付いていく…

って感じの、でも基本的には大学生の底辺生活が繰り広げられますf:id:nossske:20161209174006j:plain

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(海老の身のない、天かすだけで作った天丼…)


バンドやってて語り口もロックな割に、常識的な面もある「先輩」鯨井ルカと

ツッコミ役にみえて、どこか天然な面もある「後輩」入巣柚実

基本は大したことないドラマが展開していくf:id:nossske:20161209174148j:plain

「入巣柚実の成績表とかけましてぇ 干した布団と解きます」

「その心は?」 「フカフカ(不可不可)です」「上手いっ」


まぁ、先輩と後輩のやりとりは味があって面白いんだけど

そこまで大きな物語にはならない

将来についての悶々とした悩みなども挟みつつ

 

一見108円らしい、抑揚のない物語になるんだけど

終盤以降、バンドやってた先輩がふとした事からデビューする事になり

寮を出て一人暮らしすることになるf:id:nossske:20161209174242j:plainf:id:nossske:20161209174339j:plain

 

離ればなれになっていく二人の心(別に付き合ってたとかじゃないんだけど)

徐々にビッグスターになっていく先輩を見ながら、どこか寂しさを感じていた後輩入巣

そんな中で、ある日届いたライブのチケット

ライブに行った入巣が見たのは―――…

 

今は有名な『それでも町は廻っている』の作者の、連載初期に書いた一冊完結の物語

ぱっと読んだ印象だと、大学生らしい自由さと底辺さを「あ~あるある」って感じるお話なんだけど

終盤の物語から、お互いをどれだけ大切に思ってたのかが垣間見えるという

絵柄からは想像できない深いテーマが描かれています

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別の短編を買った時に、この最後のコマが載っていて気になったのが始め

100円台で買える割に、漫画好きな人には「なんかとっておきたい」と思わせるような

不思議な味わいのある漫画です

主人公達の住んでいる寮が『冴羽(女子)寮』って名前だったり

各話のタイトルが『ネムルバカ』→『バカショージキ』→『ジキューセン』と二文字しりとりになってたりと

色々と遊び心が多いのが面白い

 

いやぁ~、面白い漫画は探せばまだまだあるんですよ、ホントにマジで!

流行りの漫画だけじゃない、自分だけの「お気に入り」を探してみませんか?

 

以上、のすけがお送りしました

おもいでエマノン

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昔ハマった漫画を久しぶりに買い直したので紹介しますのコーナー。

本日はコレ。『おもいでエマノン鶴田謙二 (原作 梶尾真治)』

¥108 (BOOKOFF

 

時は1967年

SF好きな学生だった主人公が、旅先で1人のフーテン娘と出逢う

彼女は「地球に生命が発生してから現在までの記憶を、総て持っている少女」だった

原初生命から始まり、人間の様々な歴史を肌で感じていた記憶

それを代々、繋ぎとめてきているのだという

記憶は、次の代が生まれるとそれに移され、母体の記憶は消去される

 

そんな17歳の娘と、旅先の客船内で出遭った数時間の話

 

 

本人曰く、「優性の遺伝子異常」だというその話は

SF好きで素直な性格の主人公にとっては、とても興味深い内容であった

ただ、人魚の肉を食べた八尾比丘尼…と噂を立てられてからは、あまり人に話すのをやめているのだという

その事件で懲りてしまったのだそうだ

 

では何故、その話を主人公に聞かせる気になったのかといえば…f:id:nossske:20161201103108j:plain

(ここでちょっと躊躇う。それまで淡々と語っていた彼女が、少し困った顔で言い澱むのが萌える)

江戸時代の頃に、コロリにかかって死んだ夫に似ていたのだと

 

内気で、でもとっても優しい人だった…という

輪廻転生、「あなたがもしも生まれかわりだったら」と思ったのだそうだ

 

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(数時間で、お互い気を許した描写が続く。自然に2人の時間を愉しむ感じが何かイイ)

そして、その「フーテン娘」とイイ感じになり、楽しいひと時を過ごすのだが

眠りに入ってふと気付くと、その娘は忽然と姿を消していた…

「Good Bye!」の置き手紙を残して

 

 

ここで時間は飛んで13年後…

平凡な人生を歩んできた主人公は、全くの偶然で奇跡的にその娘と出会った

昔の想いを告げる為話しかけてみるが、彼女は主人公の事など全く覚えていなかった

その彼女には娘がいた

 

娘は言う

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「まだ覚えててくれたのね。ありがとう」

一番好きなシーンです

 

「私、あなたのことが好きよ。多分永遠に忘れないわ」

じゃあ、何故姿を消したのか?と問う主人公に語るセリフ↓

「数時間一緒にいても数十年間一緒にいても、好きだったという思い出は私にとっては同じなの」

 

人類にとっての”おもいで”とともに生き続ける彼女の中に、好きという記憶で残れるのであれば

それも悪くないんじゃないか、と主人公は悟ったのだった

 

なんだかSFチックで壮大な内容のわりに、ロマンスっぽいロマンスもないし地味なお話にも思えるのですが

ある意味孤独なエマノンの中に記憶として生き続ける主人公が、切なくも温かくある…そんな作品です

 

まぁ非常に長々と書きましたが、鶴田謙治という人の漫画は

単純にイラストだけとして見ても美しいし、とても雰囲気がある

この漫画に関しては、表紙でジャケ買いしちゃってもいいんじゃないかな~と

ただ難点は…、とにかく次作が出るまで時間がかかる!

『Forgot Me Not』から、何年待ったと思ってるんだよ…

作者を追っかけるのはおススメしない漫画家ですw

 

そんな漫画が、探せば108円で買えるのです

今日の酒代より安いっすよ?

もし機会があったら、探してみるのはいかがでしょうか?

 

 

以上、のすけがお送りしました