おもいでエマノン
昔ハマった漫画を久しぶりに買い直したので紹介しますのコーナー。
本日はコレ。『おもいでエマノン/鶴田謙二 (原作 梶尾真治)』
¥108 (BOOKOFF)
時は1967年
SF好きな学生だった主人公が、旅先で1人のフーテン娘と出逢う
彼女は「地球に生命が発生してから現在までの記憶を、総て持っている少女」だった
原初生命から始まり、人間の様々な歴史を肌で感じていた記憶
それを代々、繋ぎとめてきているのだという
記憶は、次の代が生まれるとそれに移され、母体の記憶は消去される
そんな17歳の娘と、旅先の客船内で出遭った数時間の話
本人曰く、「優性の遺伝子異常」だというその話は
SF好きで素直な性格の主人公にとっては、とても興味深い内容であった
ただ、人魚の肉を食べた八尾比丘尼…と噂を立てられてからは、あまり人に話すのをやめているのだという
その事件で懲りてしまったのだそうだ
では何故、その話を主人公に聞かせる気になったのかといえば…
(ここでちょっと躊躇う。それまで淡々と語っていた彼女が、少し困った顔で言い澱むのが萌える)
江戸時代の頃に、コロリにかかって死んだ夫に似ていたのだと
内気で、でもとっても優しい人だった…という
輪廻転生、「あなたがもしも生まれかわりだったら」と思ったのだそうだ
(数時間で、お互い気を許した描写が続く。自然に2人の時間を愉しむ感じが何かイイ)
そして、その「フーテン娘」とイイ感じになり、楽しいひと時を過ごすのだが
眠りに入ってふと気付くと、その娘は忽然と姿を消していた…
「Good Bye!」の置き手紙を残して
ここで時間は飛んで13年後…
平凡な人生を歩んできた主人公は、全くの偶然で奇跡的にその娘と出会った
昔の想いを告げる為話しかけてみるが、彼女は主人公の事など全く覚えていなかった
その彼女には娘がいた
娘は言う
「まだ覚えててくれたのね。ありがとう」
一番好きなシーンです
「私、あなたのことが好きよ。多分永遠に忘れないわ」
じゃあ、何故姿を消したのか?と問う主人公に語るセリフ↓
「数時間一緒にいても数十年間一緒にいても、好きだったという思い出は私にとっては同じなの」
人類にとっての”おもいで”とともに生き続ける彼女の中に、好きという記憶で残れるのであれば
それも悪くないんじゃないか、と主人公は悟ったのだった
なんだかSFチックで壮大な内容のわりに、ロマンスっぽいロマンスもないし地味なお話にも思えるのですが
ある意味孤独なエマノンの中に記憶として生き続ける主人公が、切なくも温かくある…そんな作品です
まぁ非常に長々と書きましたが、鶴田謙治という人の漫画は
単純にイラストだけとして見ても美しいし、とても雰囲気がある
この漫画に関しては、表紙でジャケ買いしちゃってもいいんじゃないかな~と
ただ難点は…、とにかく次作が出るまで時間がかかる!
『Forgot Me Not』から、何年待ったと思ってるんだよ…
作者を追っかけるのはおススメしない漫画家ですw
そんな漫画が、探せば108円で買えるのです
今日の酒代より安いっすよ?
もし機会があったら、探してみるのはいかがでしょうか?
以上、のすけがお送りしました